こちら→gijutu050316.pdfは熊本県病害虫防除所が発表したシルバーリーフコナジラミの薬剤感受性試験の結果ですが、サンマイトに効果があるくらいで比較的新しいネオニコチノイド系の薬剤も感受性が落ちていることが分かります。
こうなってきますと、効果のあるサンマイトでも2回しか使用できないことから薬剤による防除はお手上げ状態と言えるでしょう。こういう状況下では防虫ネットや粘着シートを総合的に利用するIPM(総合防除)が不可欠といえます。
ところで4月20日の記事でご紹介したサンクリスタル乳剤ですが、トマトのコナジラミへの登録を取得すべく作業に入っているとのことです。
サンケイ化学の社内試験データが中心ですがご紹介します。
既存剤と遜色ない効果を示していますが注目すべき点はコナジラミ成虫に対する忌避効果です。
昭和50年代にオンシツコナジラミが難防除害虫として問題になった頃、各地の農業試験場で薬剤の防除効果を判定したそうですがその中にマシン油の忌避効果を評価したデータがあるそうです。
ところがマシン油はトマトなどの野菜類には強い薬害があり実用化されていませんでした。
サンクリスタルもトマトなどに散布することによりマシン油と同じ忌避効果を示すようです。これは薬液が散布された葉面が油脂によりコナジラミの寄生に適さない条件になることが理由のようです。
このことは成虫が寄生して吸汁することで感染発病していく黄化葉巻病に対して有効ではないかと推測されます。
また薬液が直接成虫にかかれば速効的に死滅させること。葉裏に寄生している幼虫や卵にも効果が期待できること。一般的なコナジラミ剤の使用回数が2〜3回なのに対し、サンクリスタル乳剤は6回使用できること。効果メカニズムが物理的なので薬剤抵抗性が発達しにくいこと。
以上の点からコナジラミ防除の基幹薬剤としてサンクリスタルを位置づけて行けるかと考えています。
ちなみにトマトの幼苗期の散布においても薬害は認められないので、育苗期〜定植後まで幅広い散布が可能なこともサンクリスタルが使いやすい剤として位置づけられる理由の一つにあげられます。
現在のサンクリスタル乳剤の登録は野菜類のハダニ、アブラムシ、うどんこ病に300倍での散布となっています。
弊社地元のJAしみずを中心に効果試験を実施する予定なので、追って試験結果をご案内できるかと思います。