講演内容は「農薬に関する最近の話題から」ということで、その中で「アグリクール」と称する資材が研究室に持ち込まれ、有効成分の検査をしたところ日本では無登録農薬の「アバメクチン」が混入されていることが明らかになったと発表されました。
アグリクールをgoogleで検索すると「人・自然に優しい」「環境に優しい」とか「有機・減農薬栽培に最適」といった天然由来の資材ということでいろいろなサイトがPRしていますが、全てが嘘だったということが証明されたわけです。
このことは、昨年から始まった食品のポジティブリスト制度を考えると、何も知らずにアグリクールを使った生産者にとっては大問題です。
こちらにアバメクチンの残留基準値が載っていますが、穀物を始めとして多くの野菜の基準値が一律基準の0.01ppmとなっています。
「肥料登録が取れているから大丈夫」などと生産者を安心させて、実は無登録農薬の成分が混和されていたとは、農業生産者や消費者に対する裏切り以外の何物でもありません。
国には一刻も早く、このような偽商品の販売中止措置を取り、中身を知りながら製造、販売していた悪質な業者に対しても厳しい処罰を下してもらいたいものです。
私もアグリクールを使用していましたので、本山教授の公演を知り、気になってメーカーに問い合わせをした所、そのような事実は無いとの返答でした。
メーカーでも、抜き打ちでサンプルの成分検査を行った所、今まで「アバメクチン」が検出されたことは無いとのことです。メーカーもこの件に関しては怒り心頭で、千葉大学に対して訴訟も検討しているとのことです。
貴殿の記事を拝見して、ちょっと気になったのでコメントさせていただきました。
(ちなみに私はメーカーの人間じゃないですよ。一生産者です)
はじめまして!コメントありがとうございます。
本山教授はアグリクールを農薬検査所に持ち込んで再試験を行うと言っているそうなので、その結果待ちですね。
以前から天然成分に殺虫効果があるとかでPRしている資材もありますが、天然成分であるとしても毒性はあるわけで、天然=安全ということではありません。
農薬を散布するということが、あたかも毒薬を作物にかけているととらわれがちですが、毒性の比較では例えばトリカブトよりも急性毒性の低い化学薬剤は数多くあるわけなので、「天然物質」というイメージにとらわれることなく資材を選択したいと思っています。
そこの営業マンが○○エキスはアグリクールよりも濃いと説明していた気がします。
ホームページを見ると販売中止になっているし・・・。
コメントありがとうございます。
>某肥料会社の○○エキスは大丈夫でしょうか。
う〜ん・・・これだけでは何なのかわかりません・・・
モノは肥料なのに殺虫効果を謳っているような資材は怪しい感じがしますけど・・・
その会社のカタログの中でその商品はアルカロイドというカテゴリーに分類されてました。
カタログ上ではさすがに農薬取締法に触れるようなことは書いてありませんが・・・。
ただ、ダニに対して非常に効果が感じられるのは事実です。
「農法あれこれウォッチング」というサイトの「クララ(苦参)及びクララを含む資材についての考察」として詳しい記述がされています。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~atotsugi/nouhou/kurara.html
私も同じような感想ですね。
ところで農薬登録には厳正な基準、試験があるにもかかわらず、肥料には基準はあるもののほとんど試験を行わずに登録が取れてしまうことをご存じですか?特殊肥料に限っては県への申請だけで済んでしまいますから(登録制ではありません。)怖いものです。
分析にしても、異物を除いた製品を分析依頼すれば異物の混入は認められないわけで、今回のように市販されている商品を分析するのが、本来の成分を特定するには最良でしょう。
(メーカー側の提出する資料では信頼度が低いと感じます)
ですから、不心得者がいるところでは、あらゆる異物の混入は簡単のようです。
また、ラベルを見る限りでは農薬取締法に抵触する様な記載もありますから、特殊肥料の申請を行っているだけで安心して使えるというものではありません。
安心して使いたいなら、いっそのこと自身で分析にかけてみるのが一番早く、安心できます。
また、主成分は天然物でも、乳化剤や添加剤には化学合成成分が使われていることがほとんどですから、有機に使用できるというのは根本的に間違っていると考えます。
ところで、この様な商品は他にも多数あるって知ってました?怖いですよ〜;;
いっそのこと、農水省または飼肥料検査所が市販されている特殊肥料・資材を分析にかければ早いのにw
コメントありがとうございます。
有機農産物に使った有機質肥料に化学物質が含まれているなんていう笑えない話は現実にも起こっているでしょうね。
肥料も原材料の素性を明らかにする動きも聞いています。
いわば肥料製造におけるトレーサビリティです。例えば原料の魚はいつどこの食品工場から出されたものかなど、肥料の内容物の産出過程を明らかにすることで、生産資材である肥料の安全性、信頼性をも高めていこうというものです。
有機質肥料の製造は産業廃棄物の再利用という側面を持つわけですから、内容物の信頼性についてより気を使わなくてはならないと思います。
農水省は22日、農業用資材製造・販売の三好商事(三重県名張市)が農家や個人向けに販売した植物保護液「アグリクール」から、農薬取締法に基づく登録を済ませておらず、使用が禁止されている農薬「アバメクチン」を検出したと発表した。
農薬を使いたくないという気持ちは判らないでもないですが、アグリクールの様な資材を使っていると汗水たらして生産したものが売り物にならなくなる可能性があります。農林水産省の登録のある農薬を適正使用する方が結局は生産者、そして
消費者のためになります。
バタバタしておりまして、コメントに対する返信が大変に遅くなり失礼しました。
国もやっとグレーゾーンの資材の内容を追及する動きに出たわけで、「天然物だから安心」というイメージだけで流通していた「まがい物」にストップがかかることは一歩前進といえます。
ちょっと冷静に考えてみればすぐわかるのですが、全世界の農薬研究者が「より安全」で「より効果的」な化合物を日夜検索しているわけなので、魔法のクスリが簡単に開発されるわけもないのです。
「漢方」というと、何千年もの歴史に裏付けされた安心で効果的というイメージで捕らえがちですが、もしもそういった安全性と効果があるのならば、農薬メーカーは当然その性能に着目して開発を進めているはずです。
見かけのごまかしに騙されることなく、真実を捉えることが重要です。
新聞記事ではアグリクールの中に「アバメクチン」が1600〜2000ppm含まれていたということですが、アグリクールの使用方法は500〜1000倍で希釈して散布ということなので、最大4ppmのアバメクチンを散布していたことになります。
ポジティブリストで残留農薬を調べてみよう http://www.fcg-r.co.jp/pesticide/linkpes.cgi?p204200
のサイトでアバメクチンの残留基準をみると、ナス、トマト、ピーマン、イチゴなどの果菜類の多くで0.02ppm、キャベツ、はくさいなどの葉菜類では0.01ppmとなっています。
アバメクチンの太陽灯下での24時間後残留量は2%という農水省からの資料があるそうですが、4ppmのアバメクチンを散布した場合24時間(日長8時間×3日)経過しても0.08ppmのアバメクチンが作物体上に残留していることとなり、この段階で残留調査を行えば基準値以上のアバメクチンが検出される恐れがあります。
収穫期に散布していればもちろんこの濃度以上のアバメクチンが残留していることは言うまでもありません。
(12月5日訂正:上記中で0.08ppmの残留とありますが、これはあくまでも散布された液体濃度で、作物の重量全部に対しての濃度ではありませんので、残留値としてはここまで高くはなりません。)
今回の問題は偽物の天然資材を販売していた業者に非があるわけですが、農業生産者や消費者も含めて本当の安全安心とは何かということを再考する良いきっかけとなったのではないでしょうか?
ココアや納豆が身体に良いという番組を見て、スーパーマーケットに我先に走る日本人の国民性も、こういった偽物資材がたくさん売れる大きな理由なのだろうと感じますがいかがなものでしょうか?
「ナイフは人を傷つけるから危険」
「車は排気ガスを出すので私達の体にわるい」
というようなセリフと同じで、例えばナイフは使い方を誤れば深い傷を負うこともあります。
しかしナイフは我々の生活を便利にする道具ですし、ナイフを使うことによって享受する利便性を多くの人が理解しているので、ナイフはその危険性も含めて受け入れられています。
農薬もその危険性(リスク)と利便性(ベネフィット)を広く周知させて、使い方を誤らなければ安全で安心な資材ということを多くの人に理解して頂きたいものです。
ご存知でしょうが、その辺りの話題は「農薬ネット」
http://www.nouyaku.net/index.html
に詳しく掲載されているのでご覧頂ければと思います。
いよいよヘキロもリョクホウも回収されるようです。
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouyaku/080228.html
何千万かかるのは決して無駄な経費を使って試験を行っているわけではなく、農薬登録に際してそれだけ多くのデータを求められているということで、ちなみに現在ではそれにかかる費用は数十億だそうです。
コストのことは詳細にはわかりませんが、例えば難防除病害虫に対する薬剤の登録期間はスピードアップして短縮しているとの話も耳にしますし、国も困っているところには手を差し伸べているのではないでしょうか?
化学薬品を大気中に放出すれば環境に影響を与えますが、その大小は使われた薬品の量と分解のしやすさによって変ると思います。現在の薬剤は成分の使用量が1ヘクタール当たり数グラムというものもあり、ごく僅かな成分量しか使われなくなっています。
また、長期間分解せずに環境中に残る成分は開発段階で候補から外されるので、現在の薬剤と言うのは量的にも質的にも環境には極めて残りにくいものと言えるでしょう。