毎年標高が違う何ヶ所かの畑から、クワシロカイガラムシが寄生した茶の枝を採ってきて、雌成虫が産卵した卵塊の孵化調査を行っているのですが、今年は茶の生育も遅く調査も22日とかなり遅くなってしまいました。
今回調査した裾野市茶畑(本当にこういう住所があります)の様子。標高は230m程度。なだらかな傾斜の茶園なので乗用の管理機で摘採の最中でした。
この茶園はまだ植え付け後4年くらいの幼木園。苗に寄生していたのか、クワシロカイガラアムシの発生は局所的。クワシロカイガラムシが寄生すると左手前の株のように新芽の生育が極端に悪くなり、株は枯死します。
クワシロ雌成虫の寄生の様子。結構ひどく付いちゃってます。
高標高ということで、防除のタイミングはもっと遅いだろうと考えていましたが、実際調査すると50%孵化卵塊率が結構高くなっています。
幼木園で株の中への日光の当たりが良いことや、特にクワシロに加害された株は葉層がほとんどないので余計に日差しの入りが良く、積算温度が早く高くなったものと予想されました。この後調査した100m標高の畑より孵化が進んでいたことはちょっと予想外でした。
次は富士市大渕の標高100mくらいの畑
この茶園も乗用の管理機で摘採をしていました。摘採するのは茶園の持ち主の農家ではなく、摘採や整枝などの管理を請け負うオペレーターです。
この畑の孵化状況は、まだ20〜30%孵化卵塊の比率が高く防除適期は1週間後くらいと予想されました。
最後にどんな感じで調査しているのか公開します。
アウトドア用のニコンの防水実態顕微鏡が主力の調査ツールです。
これと電気スタンド、マチ針があれば・・・
このような茶の枝の表面を見ることができます。(クワシロ雌成虫寄生の様子)
裾野の畑も富士の畑も、クワシロカイガラムシの天敵であるチビトビコバチの寄生がかなり多く(調査したカイガラの概ね7割くらい)天敵の有用性も確認できました。多分薬剤散布が間に合わなくても被害はそれほど広がらないでしょう。
チビトビコバチと天敵のテントウムシ幼虫(と思われます・・・)