2010年04月13日

天敵を使った害虫防除の流れについて

ダニを食べるダニ、アブラムシに寄生するハチなど果菜類を中心に、わが国でも天敵昆虫の利用が進んできました。

虫で虫を駆除するというと、害虫がうじゃうじゃいるところにプレデターのように天敵昆虫が入り込んで、ムシャムシャ食べつくすような感じが想像されそうですが、実際の天敵による害虫防除はもっと静かな穏やかな感じです。

虫による戦争、陣地取りみたいなものなので多勢に無勢では勝ち目はありません。

したがって過去にはできるだけ害虫が少ないときに天敵を放飼(圃場に放すこと)をしましょうなどと言っていました。

そのためには放飼前に害虫の密度を細かく調べて、天敵を導入する時期を決めていました。
これは害虫の寄生株率や寄生数などを調べる作業で、天敵導入に対する障害になっていたことは事実でしょう。

この流れが変わってきたのは、ハダニだけを捕食するチリカブリダニに加えて、ハダニ以外のいろんな虫や花粉を食べて生き残ることができるミヤコカブリダニが登場してからです。

ミヤコカブリダニを使うときは「この日に放飼する」と決めたら、その日に合わせて薬剤の影響がなくなるような散布スケジュールを立て、ハダニの密度を限りなくゼロに近くしてしまうのです。

雑食性で飢餓に強いミヤコカブリダニなのでいわゆる「ゼロ放飼(害虫ゼロでの放飼)」が可能になったのです。

餌であるハダニがいなくなると、自らも少なくなって最後には消えてしまうチリカブリダニではできない放飼方法です。

ミヤコカブリダニが発売されてからイチゴの天敵防除の成功率が高まったことからも、このゼロ放飼は今後の天敵利用のトレンドになっていくことでしょう。


今後はスワルスキーでもこのゼロ放飼技術が普及するものと思われます。
posted by savegreen administrator at 17:33| Comment(0) | TrackBack(0) | IPM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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