2010年01月31日

トマト 黄化葉巻病と家庭菜園

家庭菜園のシーズンを前にちょっとひとこと。


西日本を中心に中部から北関東まで発生が確認されているトマトの黄化葉巻病ですが、管理人も昨年栽培したトマトが被害にあいました。

黄化葉巻病はトマトの害虫であるタバココナジラミのバイオタイプQがそのウィルスを伝播して、トマトの新芽部分に葉巻症状を発生させ、新芽が伸びなくなって収穫が皆無になる恐ろしい病害です。
病害虫の被害というのは、たとえばアブラムシやヨトウムシがついて果実100個収穫できるものが90個に減収したとしても、経済的に許容できる範囲であるならば作物を栽培して販売する経済活動が成り立つわけですが、収穫が限りなくゼロに近くなってしまうとすれば生業として成り立ちません。
トマトの黄化葉巻病はそんな恐ろしい側面をもつ病害なのです。

生産農家は黄化葉巻ウィルスを伝播するタバココナジラミを駆除するために様々な対策を講じてます。
たとえば薬剤散布、害虫の侵入を防ぐ細かい目合いのネット展張、害虫捕殺用の粘着シートの設置。しかしタバココナジラミバイオタイプQは薬剤感受性が低下していて、防除が大変に難しい害虫となっています

黄化葉巻病のようなウィルス病は、そのウィルスに感染した伝播者(タバココナジラミBTQ)がは一頭でもいると病気は蔓延する可能性が高く、100%伝播者を駆除しない限り被害が低減しないという性格を持っています。つまり大変に防除が困難な病害なのです。

ウィルス病には防除の許容水準はなく、伝播する害虫をゼロにしないと蔓延は抑えられません。

したがってトマトの生産農家はコナジラミを限りなくゼロに近くしようと対策を練るわけですが、ここに家庭菜園という圧倒的に多数の(誤解を恐れずに言いますが)黄化葉巻病の発生源が存在しているのが現状です。

筆者も含めて、家庭菜園は農薬の防除圧(薬剤防除の機会)が低いのは、生産現場に比べたら顕著かと思います。言うなればキッチリコナジラミの防除対策をしている農家の周りに、ウィルス病を持ったトマトの株が植わっているというのが現状なのではないかと考えてます。

トマトの産地では、家庭菜園で植わっているトマトの防除を徹底するお願いや、最後にはトマトの栽培を止めて欲しいという依頼を行政やJAを通じて行っていますが、主要な夏野菜であるトマトを家庭菜園で作らないという流れにはなりえないでしょう。


現状でトマト産地が採用した対策の一つに黄化葉巻耐病性品種の導入があります。
耐病性品種というのは、黄化葉巻病ウィルスが感染してもその症状が極めて軽く、減収率が低いものです。黄化葉巻病発生地域のトマト産地では耐病性品種の導入は不可欠とも言えるでしょう。

でもここで考えること・・・

耐病性品種の品質が消費者に受け入れられるのか?○○種苗の○太郎がそのブランドを確立して圧倒的な人気を獲得している日本の市場で、その他のブランドが受け入れられるのか?

これは流通を担う立場の人が考えることなのかもしれないけど、トマトを栽培するという場面では生産物が出荷できなければ意味ないし。


多分露地栽培では耐病性品種でなければ収穫できないだろうし。
でも、耐病性品種であろうとウィルスは保毒するから、周辺で栽培している感受性の品種では被害は変わらないわけです。


家庭菜園向けのトマトの苗は耐病性品種を売れば喜ばれるでしょう。
でも、その周辺で感受性の品種を作ってる農家にとっては迷惑極まりないことであって、黄化葉巻病というのは種苗会社や生産農家、家庭菜園でトマトを栽培する人、薬剤を開発する農薬メーカー、その他行政など全ての関係者が自分の事として真剣に取り組まなくてはいけないことなのでしょう。九州などはすでに関係者が一丸となって取り組んでいるんでしょうけれど、うちの周りは意識低い場面もあるんだろうなぁと・・・


posted by savegreen administrator at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 病害虫防除 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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