変更内容としては
「うどんこ病」の使用倍率「300倍」が「300〜600倍」に変更
使用回数の「6回」が「使用回数は定めない」(回数制限なし)に変更
です。
以前から6回使えたサンクリスタルなので、作期の長いイチゴやトマトなどの防除剤として外せないだろうなぁとJAの営農指導員には話をするのですが、担当者によって温度差をかなり感じました。
「6回使えるのはいいけど・・・サンクリスタルって食用油でしょ?そんなに効果あるの?」
というのが正直なところのようです。
しかし以前の記事や弊社ウェブページでもご紹介したように、害虫への効果は高いものがあります。
なんとなく油分がべたつくとかそんなマイナスイメージがあるのでしょうか?(実際にべたつくことはないんですが・・・)
イチゴのハダニ防除を考えてみましょう。
苗の時期にキッチリ防除して本圃にハダニを持ち込まないことが基本ですが、今作のように乾燥条件が続くとハダニの発生は本圃でも多くなります。
定植後に使えるダニ剤といえば、マイトコーネ(2回)コロマイト(2回)バロック(1回)ニッソラン(2回)ダニトロン(1回)サンマイト(1回)など、結構回数的にはあるわけですが、実際に効果の高い剤は限られてくるし、天敵を導入していたらバロックやダニトロンなどは使いにくくなります。
またイチゴの場合受粉のためにミツバチを入れてあるので、登録があっても使いにくい剤もあります。(オサダン、ロディなど)
さらにハダニの抵抗性問題を考えると、アーデントのような合ピレで使用回数4回とかになっていても、なかなか複数回使いにくいのが現状です。アーデントなんかは春のスリップスにも取っておきたいし・・・
こういういくつかの縛りを考えていくと、定植後にフリーで使える剤というのはかなり狭められてしまうわけですね。
こういう状況下で回数制限がなくて、その効果発現のメカニズムから抵抗性が極めてつきにくいであろうサンクリスタルは、ハダニの基幹防除剤として外せない剤だと考えています。
また、本年5月より残留農薬のポジティブリスト制が導入され、残留基準のない農薬には厳しいチェック体制が敷かれることとなりますが、サンクリスタルはポジティブリスト制の対象外になっています。
これは結構大きな問題で、例えば単一の作物を大面積で栽培している産地ではドリフトによる適用外薬剤の残留はあまり問題にはならないでしょうが、少量多品種の作物を栽培して直売しているような場合には、全ての作物に適用がある薬剤を選択することは不可能に近いでしょう。
アファーム乳剤やモスピラン水溶剤のように、多岐にわたる登録を取っている剤も増えてきましたが、全ての作物を網羅するわけではありません。
適用病害虫の狭さの問題はありますが、少量多品種栽培での農薬利用は「野菜類」登録の取れている他剤(BTや銅剤、微生物剤など)との組み合わせが不可欠と考えています。