2006年02月03日

ホリバーロールの設置方法(屋内編)

アリスタのアナウンスでは粘着力が野外で2〜3ヶ月は持続すると言われるホリバーロールですが、弊社がトマトやバラの施設で試験したところ粘着持続力は1ヶ月程度のものでした。降水量や季節によっても変動するものとは思われますが、1ヶ月の持続では野外への設置はコストや設置の手間からあまり勧めることはできません。

一方、屋内での利用はお勧めです。バイオタイプQなどの薬剤抵抗性が発達した害虫の防除には今後粘着シートなどの物理的防除法が欠かせなくなると思いますが、10枚550円で販売している粘着板タイプのホリバーに比べ、ホリバーロールは面積当りのコストが3割程度で済みます。
切ったり張ったりする手間はかかりますが、大量に使う場合はホリバーロールがかなりお得です。


ということで今日はホリバーロールの設置方法(屋内編)です。


hr06.jpghr12.jpghr06.jpg

上の3枚はいずれも畝に沿ってホリバーロールを張っています。
特に(11)のように生長点近くに張っておくと、薬剤散布をしたときにコナジラミが逃げて飛び立った付近にホリバーがあることになり、捕殺効果が高まるようです。
また畝と交わるようにホリバーロールを張ることで、コナジラミの畝に沿った移動を妨げることもできます。
発生箇所が特定できれば、そこを中心にホリバーで囲んでしまうイメージです。


hr07.jpghr08.jpghr09.jpg

この3枚は移動式トラップ(9は除く)です。
例えば出入口を開けておかなければならないときとか、通路などの常設が邪魔になる場所ではこういった移動式トラップを置いておくことによって、侵入してくるコナジラミを捕殺することができます。
これは100点の技術ではありません。10頭が侵入してくるところ5頭しか捕殺できないかもしれません。しかし逆に半数である5頭を捕殺することで施設内の発生を減らすことができると考えてはいかがでしょうか?


hr10.jpghr14.jpghr15.jpg

出入口に張った事例です。
害虫の侵入場所は人間が出入りする場所であることが圧倒的に多いでしょう。
そういった意味では出入口への設置は効果的と思われます。
例えば15の例では出入口の周囲にしかホリバーロールが張ってありませんが、例えばこの状態で内側から風を送ったらどうでしょうか?風にあおられたコナジラミは周辺に逃げてホリバーロールに捕殺されます。
このような工夫が必要です。


hr16.jpghr17.jpg

天窓からも害虫は侵入します。天窓のネットと組み合わせるとより効果的でしょう。
17は最初に述べた大量に使う場合の事例です。10アール100枚程度設置すれば捕殺効果が高まります。



トラップは罠ということです。
基本的には害虫を一ヶ所に集めて捕まえてしまうことが効率的ですが、生産圃場ではなかなか一ヶ所に害虫を集めることは困難です。
ホリバーの黄色はコナジラミやアザミウマを誘引する色ですが、遠く離れたところからはさほど誘引されません。

やはり害虫との戦いは、野外からの侵入を防ぐという大きな視点と、施設内のどこに発生が多いのかを把握してそこで叩く局地戦を組み合わせることが効果的ではないでしょうか?

害虫は必ず雑草などの植物を伝って侵入してくるか、人間の身体に付着して入ってきます。
従って施設周辺の野外では雑草を生やさない対策や、逆に一ヶ所にだけ雑草を集中させて必ずそこを伝ってくる害虫を一網打尽にするような対策も考えられます。

自分の圃場のどこが一番発生しやすい場所なのか?
今害虫が発生している場所はどこなのか?

そういった発生状況を細かく把握することが害虫との戦いの第一歩かと考えます。
posted by savegreen administrator at 10:38| Comment(0) | TrackBack(1) | IPM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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