ご出席頂いた21世紀いちご塾会員の皆様、セミナーの開催に当たりご尽力頂いた関係者の皆様には深く感謝申し上げます。
これまではどちらかというと栽培や病害虫防除の話題を多くご提供してきましたが、今回は生産者の皆様の農場経営に視点を移し「JGAP」の考え方や実践についての講習をメインに行いました。
「JGAP」とはGood(良い)Agricultural(農業の)Practice(やり方)、すなわち「適正な農場経営とその実践」のやり方を具体化して、認証を受けた農場がJGAP認定農場として活動していく考え方で、農場の行うべき4つの課題(生産物の安全性の確保・環境に配慮した持続的な農業の継続・生産者の安全と福祉の確保・買い手が信頼できる販売管理を実現した農業経営)を詳細に定め、その各項目が実践できているかチェックしていく手法が取られています。
今回はJGAP指導員の資格を持つ、日本農薬マーケティング部の高畠さんに簡単な内容の講演を頂きました。
当社でもJGAPの考え方を普及推進すべく、指導員育成に力を入れていく考えでいます。
先月には私(管理人)が、また今月はお客様と日常接しているデリバリー担当者がJGAPの指導員基礎研修を受講してきました。
来月以降も社員全員が(少人数ですが(^^ゞ)指導員基礎研修を受講して、生産者の皆様に少しでもお役に立つような活動をしていくことを考えています。
JGAPについての疑問点があったり、更に一歩踏み込んで「認証を取りたい」とお考えの皆様はお気軽にお問い合わせください。
次に急遽講演をお願いしたのが、アリスタライフサイエンスの技術担当光畑さんです。
急遽というのも、ちょうど今回のいちごセミナーが行われる2日前の日本農業新聞に「イチゴ受粉できず」「ミツバチに異変」という特集記事が掲載され、数年前から問題視してきたミツバチの変調がここに来て大きな問題として浮上してきたため、代替の受粉昆虫としてのクロマルハナバチを紹介する必要があると考えたためです。
当社では数年前より、マルハナバチのイチゴへの利用を検討しており、アリスタの協力を得て各地で試験をしてきました。
今回のミツバチ問題は、女王バチが輸入されなくなっていること、ミツバチの影響の強い薬剤が使われた地域があって壊滅的な影響を受けた巣があったこと、ミツバチに寄生するダニの拡大など、様々な要因が重なって起こっているということです。
マルハナバチのイチゴへの利用は、当初厳寒期にミツバチがうまく受粉活動をしなくなったときの補助的なものと考えていましたが、ミツバチの出荷が今後見込めない状況になれば必要不可欠な受粉作業を担うのは現状でマルハナバチしかおらず、その使い方やイチゴ利用での注意事項を早急に取りまとめる必要があります。
今回はハチのスペシャリストでもある光畑さんに、その辺りの内容をお話いただきました。
現在イチゴで使えるマルハナバチは在来種のクロマルハナバチ「ナチュポールブラック」です。
巣箱の設置場所、花粉の与え方などイチゴでの利用に関しては、トマトと若干の違いもありますのでご興味のある方はお問い合わせください。
そして最後は21世紀いちご塾の技術顧問をお願いしている萩原貞夫先生の講演です。
今回は「苺栽培における最近の話題から」という演題で、栽培管理だけでない様々な話題を取り上げてご紹介しました。
内容は、
1.苺の紙ポット育苗
2.芯止まり減少を考える
3.鉄分施用の効果に期待
4.底面給水育苗について
5.苗産業としての育苗化への期待
6.天敵利用や微生物農薬利用について
の6項目を詳細に紹介させて頂きました。
今回出席頂けなかったいちご塾会員の皆様には、全ての講演内容を送付したところです。
景気の低迷からか、年末のイチゴ相場は芳しくありませんが、年明けの出荷本番を迎えて更にイチゴ生産者の皆様の順調な収穫をお祈りいたします。